町のケーキ店が消えていく

- 2025.02.17
- 産業動向レポート ニュース・トピックス
本レポートは、CCCMKHDがV会員にサービス提供している家計簿アプリ「レシーカ」ユーザー(約5万人)のレシートデータと、CCCマーケティング総合研究所による全国主要企業へのヒアリング調査に基づき、独自の視点で「食」業態を中心としたレポートをお届けします。
町のケーキ店が消えていく
町場のケーキ店が全国的に退潮傾向にあります。コロナ禍が大きなダメージを与えましたが、じわじわとスーパーマーケット、コンビニエンスストアなどでのケーキ取り扱いが増えてきたことが利用の転換を促進してきました。外食店では「町中華」「町寿司」など、地域の中で営業してきたお店に注目が集まっていますが、販売メインのケーキ店はそのトレンドからも取り残されているようです。また、相次ぐ原材料価格の上昇もダメージを与えています。小商圏のケーキ店ではリピート利用が重視されますが、原材料高騰を理由にした値上げは顧客離反につながりかねず、大メーカーやチェーン店のように価格の引き上げが容易ではないことが経営を圧迫しています。
ここ数年、スイーツ市場においてますます存在感を高めているコンビニエンスストアでは1個売りがメインではあるものの、ファミリー需要の取り込みに向けた2個入り、ファミリーパックの取り扱いも広げ、確実に需要を伸ばしてきています。まだデパ地下のケーキなどと比較すると価格面で引き上げ余地もあり、有名パティシェ監修などで話題化することにも成功しています。コンビニエンスストアチェーンの集客競争においてもスイーツは重要なフィールドになっており、各社の商品開発はますます熱を帯びています。カフェチェーンやデパ地下の需要をも取り込むような商品展開になってきており、コンビニスイーツはさらに存在感を増していくとみられます。
一方、スーパーマーケットはケーキ、スイーツは商品数も少なく、あまり得意としてこなかったジャンルです。大手メーカーの日持ちのするスイーツがメイン商材でフレッシュ商材はごくわずかでしたが、ここ数年は大手メーカーの商品開発が活発化したことに加え、中規模ベーカリーやケーキ店の商品取り扱いが増加し、売上を伸ばしてきています。かつては地域に店舗網を張り巡らしていた「不二家」などもスーパーマーケットなどへの商品供給を増やしており、スーパーマーケットのケーキも利用を着実に増やしています。
ケーキ・スイーツ市場においてはトレンドの起点にもなっているデパ地下も状況が大きく変化してきています。デパ地下のフレッシュケーキ取扱量はコロナ禍以降、減少傾向が続いており、クッキーやチョコレートなどに中心的なポジションを奪われつつあります。幅広い品ぞろえで集客できるケーキ店も減少しており、デパ地下のケーキ店はより専門特化した店舗が中心になっていく動きが加速しそうです。さらにデパ地下の存在感を脅かしつつあるのがショッピングセンター、駅ビルなどの存在です。特に駅ビルでのケーキ、スイーツ売り上げは拡大傾向が続いており、店舗側も百貨店よりショッピングセンターや駅ビルへの出店に軸足を移しつつあります。スイーツトレンドはデパ地下からという時代は確実に変化しようとしているようです。今後はコンビニエンスストアや駅ビルなどが重要な位置を占め、業態間競争がますます激化していくことが予想されます。
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※レシーカとは、CCCMKホールディングス株式会社がV会員に提供する家計簿アプリ。
レシーカユーザー(約5万人)のレシートデータを分析することができる。