伸びる植物性ミルクの行方
- 2024.12.13
- 産業動向レポート ニュース・トピックス
本レポートは、CCCMKHDがV会員にサービス提供している家計簿アプリ「レシーカ」ユーザー(約5万人)のレシートデータと、CCCマーケティング総合研究所による全国主要企業へのヒアリング調査に基づき、独自の視点で「食」業態を中心としたレポートをお届けします。
伸びる植物性ミルクの行方
国内の牛乳消費量は、コロナ禍で大きな変化が起きました。主要な消費チャネルであった学校でオンライン授業などが増加し、給食における牛乳の消費は急減速しました。また、業務の世界でも主要チャネルであったホテル業界でレストラン休業が相次ぎ、牛乳の利用は業務消費から個人消費への転換が進みました。個人消費の世界では高齢者のカルシウム摂取の必要性認識の高まり、広い年代層で進むたんぱく質摂取ニーズなどにより牛乳の需要は“子供の成長のためのもの”という意識から転換する流れが加速しています。
牛乳の需要をさらに詳しくみてみると、成分無調整牛乳は購入量がゆるやかに拡大傾向にあるのに対し、成分調整牛乳や乳飲料は減少傾向が続いています。乳飲料はロングセラー品が市場シェアの大半を占め、新製品が登場しても短命に終わっている状況が続いており、ヒット商品が生まれない限り、今後もじわじわと市場縮小が続くことが予想されます。
広義の牛乳の消費をみると、男性より女性の方が、購入量が多くなっており、骨粗鬆症対策やたんぱく質摂取の意識の高さが需要の背景となっているようです。年代別でみるとたんぱく質摂取の意識の高い40代以上の需要は微増傾向にある一方、10代・20代などの若年層への需要拡大が大きな課題となっています。
牛乳の需要の伸びが鈍化する一方で、周辺の市場は活性化が進んでいます。乳酸菌飲料は免疫力の向上、整腸作用、コレステロールの低減作用、老化の抑制など、様々な摂取効果が知られるようになり幅広い年代層で需要が増加しています。牛乳がスーパーでの販売が主体であるのに対し、乳酸菌飲料はスーパーだけでなく、コンビニエンスストアやドラッグストアなどでも購買が安定的に推移しており、様々な場面で飲用されています。
さらに牛乳からの転換が進んでいるのが植物性ミルクの市場です。植物性ミルクの中では豆乳が最も市場シェアが大きくなっていますが、豆乳は若年層の飲用が増加傾向にあり、近年は男性の需要も伸長傾向にあります。飲用主体で推移してきたが、鍋ものなどでも豆乳の利用は確実に市場定着してきており業務用市場でも豆乳の存在感は強まっています。着実に市場拡大を続けてきた豆乳に対し、ここ数年で一気に市場拡大しているのがアーモンドミルクやオーツミルクです。アーモンドミルクについては13年に市場に登場して約10年が経過しましたが、その間に販売量は約30倍、販売金額は約22倍と急成長を遂げています。
初期は個人消費が中心でしたが、23年以降、カフェやホテルなどで、牛乳の代替品としてのラインナップも増加してきています。業務の世界においても活用機会が増加傾向にあり、健康価値への理解や料理活用の広さが認知されていけば、一層の市場拡大が見込めそうです。
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※レシーカとは、CCCMKホールディングス株式会社がV会員に提供する家計簿アプリ。
レシーカユーザー(約5万人)のレシートデータを分析することができる。