トレンドを生むグルメ催事の復活
- 2024.07.12
- 産業動向レポート
本レポートは、CCCMKHDがV会員にサービス提供している家計簿アプリ「レシーカ」ユーザー(約5万人)のレシートデータと、CCCマーケティング総合研究所による全国主要企業へのヒアリング調査に基づき、独自の視点で「食」業態を中心としたレポートをお届けします。
トレンドを生むグルメ催事の復活
百貨店の活況が続いています。コロナ禍で大打撃を受けた百貨店は流動の回復とともに売り上げを伸ばしてきましたが、インバウンドの流入拡大とともにその勢いは加速傾向にあります。ラグジュアリーブランドや宝飾が業績伸長に大きく貢献していますが、徐々に百貨店の催事も人気が回復してきています。催事は百貨店の集客起点となってきましたが、コロナ禍で状況は変化し、集客回復して以降も催事はコロナ禍前の状態になかなか戻っていませんでしたが、この数か月の動きをみると催事の集客パワーは復調が鮮明になってきています。
コロナ禍前に人気だった「北海道展」や「九州展」といった定番のご当地グルメ催事は新たなテナント誘致を行い、集客力をさらに上げることに成功しています。北海道の「豚丼」など、ご当地グルメは百貨店が牽引役となって、外食店にメニューとして波及していったケースが少なくありませんが、こうした二次的なご当地グルメの広がりはコロナ禍で全くといっていいほど、落ち込んでしまっていました。今後、百貨店催事の復活が外食店の業態開発、メニュー開発につながっていくのか注目されるところです。
百貨店のグルメ催事でコロナ禍前から徐々に全国的な広がりを見せていたのが「パンフェス」ですが、こちらも集客面で回復傾向が鮮明になってきました。コロナ禍前は高級ベーカリー主体の構成となっていたところが多くありましたが、直近の催事をみると町中ベーカリーの出店が増加傾向にあります。単一ジャンルの専門型ベーカリーと町で人気のバラエティ豊富なベーカリーを組み合わせて展開される傾向が強くなっており、このような催事を起点にパンのトレンドが変化する可能性も高く、今後の動きが注目されます。
百貨店の催事開催機会増加と市場の活性化がほぼ同じペースで進んでいるのが「クッキー」です。クッキーはデパ地下でも定番テナントでしたが、ここ1~2年の間でその位置づけは大きく変わってきています。お菓子の自主編集売り場においてもクッキーが採用されるケースが増加してきており、採用された商品も売り切れが続出するなど、デパ地下スイーツの中で存在感を増しています。また、手土産の市場でもクッキーの人気は上昇傾向を示しており、サブレやソフトクッキーなど、バリエーションも一気に広がりを見せています。こうしたクッキー、ビスケットの人気は百貨店だけでなくコンビニエンスストア、スーパーマーケットなどにも波及しています。「たべっ子どうぶつ」や「カントリーマアム」といったロングセラー品が人気を牽引していますが、PBアイテムでも採用されるケースが増加し、さらなる消費拡大が予想されます。
社会変化により百貨店の役割はかつてと大きく様変わりしていますが、いまだトレンド発信の拠点として百貨店が果たす役割は決して小さくありません。特にグルメ催事の果たす役割は大きく、次なる消費を占う場として今後も要注目です。
これまでの産業動向レポートはこちらから!
※レシーカとは、CCCMKホールディングス株式会社がV会員に提供する家計簿アプリ。
レシーカユーザー(約5万人)のレシートデータを分析することができる。