止まらない"コメ離れ"

本レポートは、CCCMKHDがV会員にサービス提供している家計簿アプリ「レシーカ」ユーザー(約5万人)のレシートデータと、CCCマーケティング総合研究所による全国主要企業へのヒアリング調査に基づき、独自の視点で「食」業態を中心としたレポートをお届けします。
 

コメの消費はウチからソトへ
 コメの消費量の減少は歯止めがかからない状況が長く続いています。ピークの1962年度から約半世紀に及び減少の一途をたどっています。96-97年の主食用米の需要量が年間944万トンであったのに対し、22-23年の需要量は年間691万トンまで落ち込んでいます。約四半世紀で3割近い需要減となっており、“コメ離れ”はさらに進展していると言えます。コメの生産者はこの間、様々な努力を続け、いわゆるブランド米の開発などにより市場の活性化を図ってきましたが決定的な需要回復には至っておらず、先行きの不透明さから離農や稲作からの転換を図る生産者も少なくありません。
 こうした厳しい需要状況の中にも関わらず、中食や外食におけるコメの消費量は増加傾向にあります。特にコンビニエンスストアの「おにぎり」は好調な動きが続いており、その利用はインバウンド層にまで広がりを見せています。「おにぎり」については食品取扱を拡大しているドラッグストアにおいても販売が増加傾向にあり、今後も取り扱い店舗数はさらに拡大していく可能性が高く、新たな市場拡大となりそうです。
 コンビニエンスストアの中食・惣菜においては、米飯メニューはチャーハンやさまざまな丼ものでも需要拡大傾向にあり、コメの消費においては市場の牽引役としての役割を大きく担っています。また、コンビニエンスストアやスーパーマーケットにおいては米粉関連商品の投下も増加基調にあります。まだ需要面では目立つほどの売れ行きにはなっていないものの、取り扱いアイテムの増加とともに着実に市場拡大してきています。
 外食においても和風ファストフードチェーンを中心にコロナ禍を明けて以降の動きは好調に推移しています。牛丼以外でも天丼、海鮮丼などが軒並み好調な動きとなっており、インバウンドの増加によって、さらに利用は拡大していくことが見込まれます。とんかつや天ぷらなど、主食をコメとする定食業態も利用は好調に推移しており、外食におけるコメの重要性はますます高まっていくことが予想されます。
 内食においては炊飯器を買わない若年単身層など、市場転換の動きがみられますが、中食・外食においては幅広い年齢層の需要が獲得できているコメ関連商品は今後も様々な形で商品・メニューの多様化が進む可能性が高いでしょう。また、様々な食材原価が高騰している中で、コメの価格安定性は企業経営の側面からも利用価値の高い食材として注目が高まってきており、新たな丼メニューや定食・丼型の新業態出現につながる可能性もあります。
 コメは日本の農業の中心であり、食料自給の面でも重要な役割を果たしてきましたが、今後は様々な小売業態や外食業態での取り扱いが拡大し、中食・外食の中心ポジションの役割を担っていくことになりそうです。




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※レシーカとは、CCCMKホールディングス株式会社がV会員に提供する家計簿アプリ。
レシーカユーザー(約5万人)のレシートデータを分析することができる。


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CCCマーケティング総合研究所
担当:奥田